「大学デビューってどういうことを言うの?」
子供が突然聞いてきた。
音大に入学して一週間くらい経ったときのことだ。
その頃子供は服を大量買いしてきたし、朝一度着た服を鏡の前で確認しやっぱりこのズボンは合わないわ、と言って別のズボンに履き換えたりしていた。
今までは髪が寝ぐせではねていても気にせず私が指摘すると嫌々直してたのに、最近は毎日ワックスをつけている。
大学生になったら変わったなと思っていたときにこの言葉だったので何か感じているのかなと思った。
でも、大量買いしてきた服のイメージは高校時代と同じで何も変わっていない。
紺、茶、白、黒、グレーの落ち着いた色合いのトラッド系。
少しはおしゃれに目覚めたかと思ったが、服装を変える気にはならないようだ。
私は言った。
大学デビューというのは、高校まではおとなしい感じの子で服装も目立たない感じだったのが、今までのように制服じゃなく私服になって急にオシャレになってはじけちゃったような子のことを言うんじゃない?
そうするとふーん。。。と言ってそのまま部屋へ行ってしまった。
その後しばらくして最近は髪のセットに時間がかからなくなったとか、大学生らしい服装でしょ、とか言うので、高校のときより身だしなみに気をつけるようになったのね、と言ったら、中高は別に気にするほどのことはなかったけど、大学生になったからね、と言う。
子供は、大学生は高校生とは違うと思っているようだった。
そういう意識を持つのはいいことだと思う。
大学生になってバイトも始めて大人としての自覚を少しずつ持ってくれているのなら嬉しいことだと思う。