子供は最初から音大へ行くつもりでいた訳ではない。
高校入学時はその選択肢は本人にも無かったのではないかと思う。
小学校から続けていた運動部に入らず合唱部に入ったと聞いて、入学式で歌っていた合唱部を思い出したがピンとこなかった。
ただ、子供は合唱が地域で話題になる小学校に通っていたし、ストレス解消にとボイストレーニングの習い事を中学から続けていたので、歌が好きなのは知っていた。
中学も高校も学校自体は嫌だ嫌だと言っていた。学校というシステムが嫌いだと。
中学のときはいつ不登校になっても仕方ないよね、と思うくらい嫌がっていたが、高校入学しても同じように不満ばかり口にしていた。
ところが夏が過ぎて秋になるとその不満はピークに達した。
2年3年次の選択科目を選ぶ締めきりが10月末だったのだ。
選択科目によっては受験できない大学が出てくるので、慎重にこれから先の自分の人生をどうするのか考えながら選ばなければならない。
子供は音大へ行くのか一般大学へ行くのかこの時点で選ばなければならない重さに潰されそうになっていた。
音大へ行きたいけれど就職するのが難しいと言われている。
しかし、音大へ行かなければ音大へ行った人への嫉妬で狂いそうになると言う。
そんな苦しさの中で考え悩み、結局10月には結論を出すことができず、先生には来年1月まで待つからもう少し考えてと言われ、結論は先延ばしになった。
2へ続く
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